インクルージョンとダイバーシティの違いとDEIについて
(みんなが帰属意識を持つ)
インクルージョンとは「包括」「包含」「一体性」などの意味を持つ言葉です。社会において弱い立場にある人々を含め市民一人ひとり排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会の一員として取り込み支えあうという考えです。
また、RCなどの社会的な役割を担う組織において、個人が持つ特有のスキルや経験、女性の感性など様々な価値観が発揮できるようにします。ビジネスの世界では企業内の誰にでも仕事参画・貢献するチャンスがあり、平等に機会が与えられた状態を指します。
インクルージョンという考えが普及した背景には、社会問題や教育現場の問題がありました。1970~1980年代、ヨーロッパでは誰もが受けられるはずのサービスや権利、機会の差別や社会格差などにより、特定の人が受けられない「ソーシャル・エクスクルージョン(社会的排除)が大きな課題となっていました。この課題に向き合うため、誰もが平等に社会参画できる「ソーシャル・インクルージョン(社会的包括)」という考えが登場し、その後、教育やビジネスの現場に広まっていきました。
もともとは「ダイバーシティ」という考え方が先に生まれて、それを推進する中でインクルージョンという考えが生まれました。1960年代にアメリカで起こった公民権運動によって、マイノリティの権利が認められるようになると、企業に「ダイバーシティ」を推進する動きが広まりました。歴史的な背景により従来から移民が多いアメリカでは、企業がマイノリティ従業員を受け入れ、多様性を持った経営を行うことが必要不可欠でした。
そこで多様な人材の相違を認め、登用を目指す「ダイバーシティ」を推進する企業が増えたのですが、現状は「0%のヒスパニック系社員を雇用する」といった表面的なもので、社員の定着率は低く、採用・教育に係る費用ばかりがかさむ状況でした。そうした実態に対して、1980年代に生まれたのがダイバーシティにインクルージョンをプラスした考え方です。
雇用する従業員におけるマイノリティの割合だけに注目するのではなく、マイノリティであっても能力・創造力を発揮できるようモチベーションが向上する職場環境を作るということです。
ここであらためてダイバーシティとインクルージョンの違いを確認してみましょう。ダイバーシティとは「多様性」と訳される言葉であり、年齢や性別、人種などにかかわらず、様々な人々が社会や組織に参加する機会を得ることを目指すという考えです。ところがダイバーシティ多様な人々の参加は促すものの、参画したあとの体制づくりや継続性の部分で不十分なところがありました。
一方、インクルージョンの考え方は「個々の考え方や能力をいかに活用していくか」に焦点を当てたもので、人材登用後の制度や風土づくりに重きを置く考え方です。
多様な個人が社会・企業ししてRCなどで活躍することを実現させるためには、ダイバーシティ(多様性)そこにエクティ(公平さ)をプラスして、そしてインクルージョン(包摂)。DEIの考え方が必要不可欠です。
ここまでがDEIの説明ですが、では浪江RCでどう生かしていくのかというと、会員の皆様全員が活躍する機会を作るということです。否が応でもその機会が今年と来年に来ます。大変だなと思っても来るものは来ます。これをDEIを推進するまたとないチャンスとしてまいりましょう。
残りの時間を使って皆様の会社でDEIを推進するメリットについてお話しします。
- 生産性が向上する
DEIを推進することによって多様な人材の個性を発掘し、それぞれが活躍できる環境づくりを目指すことができます。従業員が個性を認められていると実感出来たらモチベーションがアップして一人ひとりの生産性のさらなる向上にも期待できます。 - 優秀な人材を獲得しやすくなる
従業員の個性を認め、多様性を受け入れている企業には、多くの求職者が関心を持ちます。年齢や国籍、障害の有無などにとらわれず、多様な人材が一緒に働ける企業は優秀な人材を獲得しやすい点がメリットです。求職者に「この会社で働きた」と思わせる要素の一つとなり得ます。 - 離職率が低下する
多様性を受け入れ、従業員を適材適所に配置することで、従業員の満足度や幸福度が高まります。自社に対する不満や不安を軽減できるため、DEIは離職率の低下にも効果が期待できるのです。 - 企業のイメージアップ
- 新規事業・イノベーションの創出 などもあげられます。
2024-25年度会長 小黒 敬三